暗号資産の取引が始まって約15年。その口座数は、世界の人口の1割弱程度に達したとも試算される。米国では規制・制度が変革を迎えつつあり、日本でも修正が行われる可能性がある。今後、政府や機関投資家等、暗号資産投資家層の拡大もありえなくはない。依然、価値の評価は確立しておらず、ハッキング対策や量子耐性等に対する懸念も根強いものの、マネーの新たな潮流をフォローするためにその動向に注意を払っておくことは有益だろう。
バブルが発生し崩壊するたびに、良きにつけ悪しきにつけ市場で大きな話題となる暗号資産(=仮想通貨)だが、こうした規制・制度の変化で再び関心が集まっている。暗号資産の現在位置を確認し、今後の見通しを検討する。
■ 暗号資産の現状と市場規模
ブロックチェーンは1991年に暗号会社のハーバーとストルネッタという2名の開発者が発明した。これを基に匿名の研究者サトシ・ナカモトが2008年に暗号資産の論文を公表、2010年5月から取引が始まったとされる。
現在世界の取引所で取り扱われる暗号資産の時価総額はおよそ500兆円に上る。このうち約6割の300兆円がビットコインである。それ以外の暗号資産は現在1100万種類を超える。2017年末の約1700種類から、毎年3.5倍ずつに膨らんでいる計算になる。
ビットコインの価格は、これまで4回の大きな波に直面した(図表1)。最初の波は2012年の半減期(=新たな取引の証明を行う作業報酬が半分になる時点)やキプロスの金融危機による暗号資産ブームから渋谷に本社を置く暗号資産取引所マウントゴックスの資金流出事件で終止符を打った。第二回は2016年の半減期から、2018年1月のコインチェック社の暗号資産ネムの盗難被害までのブームである。これを境に、暗号資産の主な舞台は日本から海外に移った。2020年の第三回目のブームは中国の規制強化やステーブルコイン・テラの暴落等で終息。そして今回は、4回目のブームに数えられる。